糖尿病の合併症一覧|放置すると起こる体への影響とは

糖尿病という言葉を聞いたとき、「血糖値が高い病気」「食事制限が大変そう」そんなイメージを持つ人は多いかもしれません。

しかし、本当に注意すべきなのは糖尿病そのものよりも、その先に起こる合併症です。

糖尿病は、痛みや強い不調が出にくいまま進行する病気です。

そのため、「まだ大丈夫」「症状がないから平気」と放置されやすく、気づいたときには目・腎臓・神経・血管などにダメージが蓄積しているケースも少なくありません。

一方で、糖尿病の合併症は早めに知り、早めに対処すれば防げる・遅らせられるものが多いというのも事実です。

この記事では、

  • 糖尿病を放置するとどんな合併症が起こるのか
  • 特に注意すべき代表的な合併症
  • なぜ「症状が出てから」では遅くなりやすいのか

を、専門用語をなるべく使わず、わかりやすく整理して解説します。

「今は特に症状がない」という人こそ、知っておくこと自体が予防になる内容です。

不安を煽るためではなく、正しく向き合うための情報として、ぜひ参考にしてください。

目次

糖尿病の合併症とは?

糖尿病の合併症とは、糖尿病そのものではなく、高血糖の状態が長く続いた結果として体に起こるさまざまな影響のことを指します。

血糖値が高い状態が一時的に起こるだけで、すぐに合併症が発生するわけではありません。しかし、血糖コントロールが不十分な状態が何年も続くと、少しずつ全身の血管や神経、臓器にダメージが蓄積していきます。

合併症が怖いと言われる理由は、「気づいたときには進行している」ケースが多い点にあります。糖尿病自体は自覚症状が少ない病気ですが、その静かな経過の裏で、体の内部では確実に変化が起きていることがあります。

なぜ合併症が起こるのか

糖尿病の合併症の根本的な原因は、高血糖による血管へのダメージです。

血液中に糖が多い状態が続くと、血管の内側が傷つき、血流が悪くなります。特に細い血管は影響を受けやすく、目・腎臓・神経などのデリケートな組織にトラブルが起こりやすくなります。

また、神経や臓器も慢性的な高血糖の影響を受けます。神経がダメージを受けると感覚が鈍くなったり、しびれや痛みが出たりすることがあります。

臓器の場合も、少しずつ機能が低下していくため、初期には自覚症状がほとんどありません。

このように、合併症は痛みや不調が出にくいまま進行することが多いため、定期的な検査や早めの対策が重要になります。

糖尿病の三大合併症一覧(基本)

糖尿病の合併症の中でも、特に重要とされているのが「三大合併症」と呼ばれるものです。

これは、糖尿病が長く続いた場合に起こりやすく、生活の質や将来の健康に大きな影響を与える代表的な合併症です。

まずはこの三つを正しく知っておくことが、糖尿病と向き合ううえでの第一歩になります。

糖尿病網膜症(目の合併症)

糖尿病網膜症は、目の奥にある網膜の血管が高血糖によって傷つくことで起こる合併症です。

初期の段階ではほとんど自覚症状がなく、見え方に大きな変化を感じないことも少なくありません。

しかし、血管の障害が進行すると、網膜に出血が起こったり、むくみが生じたりします。その結果、視界がぼやける、視力が低下する、黒い点が見えるといった症状が現れることがあります。

さらに進行すると、失明に至るリスクもあります。

糖尿病網膜症は、定期的な眼科検査で早期発見できる合併症でもあります。自覚症状がなくても検査を受けることが非常に重要です。

糖尿病腎症(腎臓の合併症)

糖尿病腎症は、腎臓の血管やフィルター機能が高血糖によって障害される合併症です。

腎臓は血液をろ過して老廃物を尿として排出する役割を担っていますが、この機能が徐々に低下していきます。

初期には自覚症状がほとんどなく、健康診断で「尿にたんぱくが出ている」と指摘されて初めて気づくことも多いです。

進行すると、むくみや倦怠感が現れ、最終的には腎不全に至り、人工透析が必要になる可能性もあります。

糖尿病腎症は、血糖コントロールとともに、血圧管理も重要な合併症です。

糖尿病神経障害(神経の合併症)

糖尿病神経障害は、高血糖によって神経がダメージを受けることで起こる合併症です。

特に手足の末端に症状が出やすく、しびれ、ピリピリした痛み、感覚の鈍さなどが見られます。

感覚が鈍くなることで、ケガや火傷に気づきにくくなる点も問題です。小さな傷を放置してしまい、そこから感染が広がるケースもあります。

神経障害は進行すると、痛みを感じにくくなるだけでなく、内臓の働きにも影響を及ぼすことがあります。早期からの血糖管理が進行予防の鍵となります。

血管が関係する合併症(動脈硬化)

糖尿病は「血糖の病気」であると同時に、血管の病気とも言われています。

高血糖の状態が続くと、血管の内側が傷つき、動脈硬化が進行しやすくなります。その影響は全身に及び、命に関わる重大な疾患のリスクを高めます。

心筋梗塞・狭心症

糖尿病による動脈硬化は、心臓の血管(冠動脈)にも影響します。

冠動脈が狭くなったり詰まったりすると、狭心症や心筋梗塞を引き起こす可能性があります。

糖尿病のある人は、心臓の異常があっても痛みを感じにくいケースがあるため、発見が遅れることも少なくありません。定期的な検査とリスク管理が重要です。

脳梗塞・脳血管障害

動脈硬化が脳の血管に及ぶと、脳梗塞やその他の脳血管障害のリスクが高まります。

これらは突然発症することが多く、後遺症が残る可能性もあります。

糖尿病がある場合、血管へのダメージが蓄積しやすいため、血糖値だけでなく、血圧や脂質管理も含めた総合的な対策が必要になります。

足・皮膚・感染症に関わる合併症

糖尿病の合併症というと、目や腎臓、心臓といった「重い病気」をイメージしがちですが、実は 日常生活に直結するトラブル も少なくありません。

足や皮膚、感染症に関わる合併症は、命に直結しにくい一方で、生活の質(QOL)を大きく下げてしまうことがあります。

しかも、初期は軽い違和感や小さな傷から始まるため、見過ごされやすいのが特徴です。

糖尿病足病変(足のトラブル)

糖尿病では、血流障害や神経障害の影響で、足にさまざまなトラブルが起こりやすくなります。

高血糖の状態が続くと、足先まで十分な血液が届きにくくなり、さらに感覚が鈍くなることで 小さな傷や靴ずれに気づきにくくなる ことがあります。

その結果、

  • ちょっとした傷が治らない
  • 皮膚がただれて潰瘍になる
  • 感染が広がり、壊疽(えそ)に進行する

といった流れをたどることがあります。

重症化すると、治療のために長期間の入院が必要になったり、最悪の場合、足の一部を切断せざるを得ないケースもあります。

「足にできた小さな傷だから大丈夫」と思って放置しないことが、糖尿病ではとても重要です。

感染症にかかりやすくなる

糖尿病では、免疫機能が低下しやすく、感染症にかかりやすく、治りにくくなる 傾向があります。

特に起こりやすいのは、

  • 皮膚感染症(化膿、できもの、湿疹の悪化)
  • 歯周病(歯ぐきの腫れ・出血)
  • 尿路感染症(膀胱炎など)

といった、日常的に起こりうる感染症です。

健康な状態であれば自然に治るような感染でも、糖尿病があると長引いたり、繰り返したりすることがあります。

「最近、治りが悪い」「同じ感染症を何度も繰り返す」と感じる場合は、血糖コントロールの乱れが影響している可能性もあります。

糖尿病とED(勃起障害)の関係

糖尿病の合併症の中でも、あまり表で語られにくいものの一つが ED(勃起障害) です。

命に関わる病気ではないものの、男性にとっては精神的な負担が大きく、パートナーとの関係や自信に影響することもあります。

なぜ糖尿病でEDが起こりやすいのか

糖尿病でEDが起こりやすくなる主な理由は、血管障害と神経障害 の影響です。

勃起は、陰茎の血管が広がり、十分な血液が流れ込むことで起こります。

しかし糖尿病では、

  • 血管が硬くなり、血流が低下する
  • 神経の働きが鈍くなり、刺激がうまく伝わらない

といった状態になりやすく、その結果、勃起しにくくなったり、維持できなくなったりします。

これは年齢の問題だけではなく、糖尿病による体の変化が関係しているケースも少なくありません。

EDは早期サインになることもある

EDは、単なる性機能の問題ではなく、血管や神経の異常を知らせるサイン として現れることもあります。

実際に、

  • EDをきっかけに糖尿病が見つかった
  • EDの相談から、他の合併症の早期発見につながった

というケースもあります。

「年齢のせい」「疲れているだけ」と決めつけず、体の変化の一つとして捉えることが、将来の合併症を防ぐきっかけになることもあります。

合併症はすべての人に起こるわけではない

ここまで合併症の話をすると、不安になってしまうかもしれません。

しかし、糖尿病の合併症は 必ず起こるものではありません

大切なのは、「どれだけ早く気づき、どれだけ適切にコントロールできるか」です。

血糖コントロールが最大の予防策

合併症予防の基本は、血糖値、とくに HbA1cを安定して管理すること です。

血糖コントロールが良好な状態を保てていれば、

  • 血管や神経へのダメージを抑えられる
  • 合併症の進行を大きく遅らせられる

ことが分かっています。

そのため、定期的な検査は「悪くなったかどうかを見るため」ではなく、今の状態を維持できているかを確認するため に重要です。

早期発見・早期対応の効果

合併症は、初期であればあるほど対応がシンプルです。

  • 生活習慣の見直しで改善が期待できる
  • 薬の調整だけで進行を抑えられる
  • 重い治療を避けられる可能性が高い

といったメリットがあります。

「何も症状がないから大丈夫」ではなく、「症状がない今こそ、確認しておく」この姿勢が、将来の健康を守ることにつながります。

合併症を防ぐためにできること

糖尿病の合併症を防ぐために、特別な治療や難しいことを続ける必要があるわけではありません。

最も大切なのは、「無理なく続けられることを、途切れさせないこと」です。

合併症はある日突然起こるものではなく、血糖値が高い状態が長く続くことで、少しずつ体にダメージが蓄積していきます。

逆にいえば、日々の管理と定期的なチェックを続けることで、多くの合併症は予防・進行抑制が可能です。

定期検査を受ける

合併症対策の基本は、「今の状態を知り続けること」です。

症状がなくても体の中では変化が起きていることがあるため、定期検査は欠かせません。

主に行われる検査の例

検査内容目的
血液検査(HbA1c・血糖値)血糖コントロールの状態を把握
尿検査腎臓への負担・蛋白尿の確認
眼科検査網膜症の早期発見
腎機能検査糖尿病腎症の進行チェック

特に三大合併症(網膜症・腎症・神経障害)は、初期には自覚症状がほとんどありません

「異常を感じてから」ではなく、「異常が出る前に見つける」ための検査と考えることが大切です。

治療と生活習慣を継続する

合併症を防ぐために重要なのは、一時的な頑張りではなく継続です。

食事・運動について

  • 極端な制限をする必要はない
  • 血糖値が上がりにくい食べ方を意識する
  • 無理のない運動を習慣化する

「完璧にやる」よりも、「続けられる形」を選ぶことが結果的に合併症予防につながります。

薬の継続について

  • 数値が良くなっても自己判断で中断しない
  • 副作用や不安があれば医師に相談する
  • 治療は調整しながら続けていくもの

自己判断で治療をやめてしまうことは、合併症リスクを高める大きな要因になります。

不安があれば中断ではなく「相談」が基本です。

糖尿病を正しく管理したい人へ

合併症について知ったあとは、「では、どうやって糖尿病と付き合っていけばいいのか?」を整理する段階です。

治療や管理の全体像を理解することで、必要以上に不安を感じずに行動できるようになります。

  • 糖尿病の合併症は、気づかないうちに静かに進行する
  • 三大合併症を中心に、全身に影響が及ぶ可能性がある
  • 血糖コントロールと定期検査で多くは予防・抑制できる
  • 早めに向き合うほど、将来の健康を守りやすくなる

合併症は「怖いもの」ですが、正しく知り、続けて管理すれば防げるものでもあります。

不安を感じた今こそが、体を守るための最良のタイミングです。

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